【体のこと】その「でべそ」大丈夫? 臍ヘルニア(脱腸)の治療体験記

目次

脱腸が原因の「でべそ」を治療

こんにちは、がくんちガクです。

今回の記事は、肥満によるでべその正体「臍ヘルニア」の治療体験記。アウトドアが主体となっている本ブログサイトの脈絡に沿わないというか、完全に個人的かつ身体的なことに関する記事なのですが、40歳以上の男性や妊娠を経験した女性には多い症状のようなので、誰かのお役に立てれば幸いという思いから、この記事を書き起こしておきます。少量の写真も貼っておきますが、カラフルにお伝えする話でもないのでモノクロです(ある意味、閲覧注意です)。

臍ヘルニア(さいヘルニア)確定に至る経緯

「でべそ」が頭をよぎる

でべそ」とは、言わずと知れた出っ張った臍(へそ)である。

今でこそ聞かなくなった「おまえの母ちゃんでべそ」という悪口は、私の子供の頃には実際によく耳にする言葉だった。意味も分からず相手を馬鹿にする言葉として発していた記憶があるが、なんとなく醜い様子を表しているという程度の理解しかなかった。そんな自分がまさかでべそに悩むことになるとは…

ベルトにお腹が乗っかるようになってはダイエットに励み、またリバウンドしてというサイクルを何度も繰り返してきた30代~40代だったが、50代になって身体機能の衰えとともになかなか痩せにくくなってきた。「また太ってきたな」と思った2年ほど前のある日のこと、鏡に映った自分の姿に違和感を感じた。「あれ? 臍が無くたってる?」そう思えるほどに腹と臍の境界線が分からなくなっていた。「これはでべそかな?」とは思ったものの確信はなく、その時は痩せたら治るだろうと再びダイエットに励んだ。実際、4カ月ほどに及ぶ定期的な運動と軽い食事コントロールによってお腹はすっきりし、なんとなく臍が復活したようにも見えたため、しばらくの間はでべそを気にすることも無くなった。

ダイエット再開

昔から体重の増減コントロールがしやすい体質だったため、「またダイエットすればいいや」という考えに慣れていて、すぐに気を抜いてしまう。今回はユーコンへの遠征(過去記事を参照👉リンク)を終えて、やや燃え尽き症候群の傾向があったかもしれないし、母親の他界や忍耐を要する仕事の状況なども重なって、あまり活動的にはなれない状況に陥ってしまい、それによって再び肥満が深刻化してきた。そんな中、例のでべそが「こんにちは!」と顔を表したのだ。

今回のでべそは、明らかにでべそと言える形をしており、腹の肉よりも若干飛び出したようなものだった。押さえると引っ込む感覚はあるが、何か深刻なものとは感じない。今回は体重が初めて100キロ台に乗っていた(約103kg)ため、「脂肪が飛び出してきたのかな?」という感覚。しかし、100キロ台に乗るというのは才能でもあるとも聞く(肥満ではなくトレーニングなどによる増量のことではあるが)。

そうなると、天邪鬼な私は100キロ台をキープしたまま脂肪を筋肉に変換する、いわゆるリコンプ(リコンポジション、Recomposition)というものができないかと模索しはじめた。通常のダイエットとは異なり、筋トレ中心の体の管理が必要になる。幸い20代の頃より断続的にストイックなウェイトトレーニングの経験があり、トレーニングを再開して3か月程度で昔に迫る重量を扱えるようになってきていた。しかし、筋力は戻ってきたとしても腹が凹んだわけではない。そもそも単純な筋肉増量だけでは脂肪は減らない。気にはなるので「でべそ手術」などを検索してみるが、30万円ほどの自己負担(保険適用外)の費用がかかるという美容手術の情報ばかりが目に入った。ただの中年オヤジの私には、魅力的な臍を手に入れる必要性は見つからない。医療系の情報からは臍ヘルニアという脱腸の症状の可能性もあることは認識できた。

スクワットで臍ヘルニアに

この日は脚のトレーニング。徐々に重量を上げながらスクワットをこなしていった。ここが限界というメインセットだったと思うが、何回目かの立ち上がりの瞬間、腹部にピリッという電気のような痛みを感じた。バーベルを置いてパワーベルトという腹圧補助のベルトを外し、周囲の目を気にしながらチラッとシャツを上げて腹を見てみる。でべその存在感が前よりも増したのが一目瞭然で、まるで臍が隆起しているようだった。シャツの上からそっと触ってみると、いつもより硬さがあって不気味である。指で押さえると一時的に引っ込むのだが、またすぐに飛び出してくるうえ、押さえた時の感触が腸に触れているようで腹痛に通じるような感覚があった。 ネットで一通りの情報を見ていた私には、いわゆる脱腸の症状であろうことは容易に想像がついた。

腹の緩んだ中年オヤジが調子に乗って重量を求めてはいけない

隆起した臍が硬かった

自宅に帰り「臍ヘルニア(さいヘルニア)」にフォーカスして情報収集を始める。これが臍ヘルニアであれば、臍部の腹膜の弱い腹膜を破って腸が飛び出し、皮膚一枚で止まっているような状況が窺えた。赤子には同様の症状があり成長するにつれてなくなるそうだ。大人の自然治癒は見込めないらしい。検索にヒットした中で、個人的に一番アクセスが良さそうな臍ヘルニアのクリニックに電話をしてみた。直接電話に出られたドクターからは、臍ヘルニアで間違いだろうということと、放っておくと嵌頓(かんとん)という飛び出した腸が締め付けられる腸閉塞や壊死が起こるリスクが高いため「まずい状況」という説明を受けた。直近の可能な日で診察予約を入れて電話を切る。気になる費用も保険適用可能で自己負担は数万円程度ということだったため、胸を撫で下ろした。

ちなみに高重量のスクワットで初めて臍ヘルニアになったのか、もともと臍ヘルニアだったのが悪化したのかに明確な回答は無いが、おそらくもともと臍ヘルニアの症状があったと考えるのが自然だろう。でべそが怪しいと思われる方は、無理に腹圧をかけて悪化させる前に、臍ヘルニアの診察を受けたほうが無難だとお伝えしておきたい。

今回お世話になった「東京デイサージェリークリニック」👇

あわせて読みたい
そけいヘルニアの治療なら そけいヘルニアの治療・日帰り手術なら東京デイサージェリークリニックにおまかせ下さい。東京駅徒歩4分の好立地で土曜祝日も診療しておりますので、患者様のスケジュール...

臍ヘルニアの手術

初診から手術翌日までの様子

電話で相談した際に初診の予約をし、実際にエコーで臍の状態を見てもらったが、やはり手術が必要となった。ただし1カ月ほど先の日程しか予約できる枠がなく、手術日を待ち遠しくしながら過ごす日々となった。寝ていたり腹圧が下がっているときはいいが、何かの拍子で臍がにゅっと隆起してくるため、指で頻繁に押し戻すという変な動作を続ける(ドクターからも押し戻す必要があると言われていた)。

待ちわびた手術当日。夕方に会社を少し早く出て予約時間ちょうどに到着し、人間ドックのようなスムーズな流れで手術台へと向かった。静脈麻酔を受けてあっというまに意識がなくなり、気が付くと看護婦さんに「終わりましたよ」と言われて術後の休憩室へ移動し再度居眠りをした。寝ている間に手術が終わったため、覚えているのは麻酔を受けるほんの5分程度のことだけである。休憩室で目が覚めると着替えをしてから痛み止めや抗生物質などの説明を受けてから支払いを済ませてクリニックを後にした。クリニックにいたのは長めの仮眠含めて1時間半程度というところか。

手術前の飲食ができなかったため、最寄りの駅まで歩く途中にあったスタバのコーヒーとクッキーで落ち着いたのだが、座ったり立ち上がったりするのがきつい。麻酔の効果が残っているので痛いということではないのだが、腹に施術を受けたという違和感でまともには動けない。夜は念のため処方された座薬(飲み薬の痛み止めに追加して処方)を使ったおかげか、問題なく朝まで寝ることができた。翌日はリモートワークにしていたが、自宅であっても動くのが大変でいくつかの会議に出るのだけで精いっっぱい。椅子に座りながら腹筋を使ってPCに向かうのは辛い。 そもそも朝目を覚ましてから起き上がるのに腹に力が入れられずに随分と苦労した

術後の経過

翌々日からは腹部をかばいながら動くことはできたが腹部の違和感は強い。術後2日目からは車の運転をしてもよいということだったので、朝に子供を車で駅まで送ったのだが、なかなかに辛かった。おなかが腫れて膨らんでいるので、ベルトを通した服装で出社するのは嫌だと感じ、この日もリモートワークにした。

術後4日目に受けた診察では順調に回復しているとのこと。日常生活では子供に腹部を叩かれたり、愛犬に飛び乗られないよう気をつけながら過ごした。 術後1週間を経過すると腹部の防水テープを剥がせることになったが、少し肌荒れしている程度で綺麗になってきているのが見て取れた。出血がわりと多かったようで、防水テープの中に血液がたまっていて、たしか術後3日目くらいで横から漏れてきて保護用の腹巻きを汚したが、出血は止まっていたのでその一回以外は問題なかった。ドクターにこの話をすると、「けっこう出血したんだね」というリアクションだったので、出血するケースのほうが少ないのかもしれない。

血が漏れた後の防水テープ  (中央はガーゼ)

術後2週間の時点では、普通にしていればほとんど痛みは感じなかった。ただ腹の皮の下に異物が入っている感触があって、へその周りに外圧がかかると強い違和感を感じる。3週間目に入るとうつ伏せに寝てマッサージを受けても問題ない状態になっていた。そろそろ徐々に腹部に力を入れても良いと言われていたので、軽いウェイトトレーニングを始めた。術後1カ月の時点でも腹圧をしっかり上げると稀にではあるが刺さるような痛みを感じ、最初は臍からやや離れた場所で感じたその痛みは、日にちの経過とともに臍の近くに寄って行った。そして1ヵ月を過ぎた今、そうした痛みを感じることはほとんどなく、トレーニングの強度も手術前に近い状態で行えている。

「手術前に近い状態で」というのには理由があり、腹部に力が入れられずに長い時間過ごしたせいで筋力のバランスが崩れていて、腰にかかる負担を軽減するのが苦手になっているようで、足腰にかける負荷は以前の8割くらいまででとどめている。いずれ腹筋(というより体感部の筋力)が回復したら、以前の負荷を超えるように調整してこうと思う。

最後に

中年オヤジの臍ヘルニア体験はこのくらいにしたいと思いますが、年を重ねると体にいろんな異常が出てきますよね。幸いにも今のところ深刻な病気はなく怪我ばかりの人生ではありますが、いろいろ気を付けないといけないなとは思っています。そういえば言い忘れたのですが、今回の臍ヘルニアの手術に民間の保険が適用されないかと思い窓口に相談したところ、加入している生命保険の医療保険の特約で少しカバーされることが分かりました。私の場合は、入院日額の5倍(日額3,000円×5倍=15,000円)という契約だっため、この15,000円を受け取ることができ、トータルの出費は35,000円程度で済みました。年間の医療費(バネ指の手術や歯の治療など)が色々あって10万円を軽く超えるので、今年の確定申告でもう少し戻ってくるでしょう。

そんなわけで、私の腹にはわりとリーズナブルな出費で綺麗な臍が復活しましたというお話でした。何事もない人にはくだらない話ですが、でべそが気になっている人にはもしかしたら有益な話だったと思います。

それでは、また別の記事でお会いしましょう。

ガク

★がくんち – Gaku’s Base★

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

お気軽にコメントください

コメントする

目次