テスリン川からユーコン川へ合流
本ブログ記事は以下の2本の動画(エピソード6と7)に関連しています👇
3本目の「ユーコン総集編(後編)」はユーコン川合流後を総括するダイジェスト版です。
ユーコン編 動画 Ep.6
ユーコン編 動画 Ep.7
総集編(後編)
前回記事(本編②)はこちら👇

ユーコン川合流
テスリン川は長かった。特にテスリン川の前半は流れが緩やかで進んでいる気がまったくしないため苦労した。反対にテスリン川の後半は自然豊かな気持ちのいい流れで、カヌー初心者の我々にとっては最も川下りのイメージにマッチする楽しい区間だったと言える。このテスリン川で最終キャンプをしたのは我々が「奇跡のキャンプ地」と命名した夕暮れの眺めが美しい中州だったが、この場所からほんの12キロ程でユーコン川へと合流する。
ユーコン川との合流地点には中州があって、その中州の手前と奥にユーコン川の水が流れ込む形状となっている。手前の流れ込みはユーコン川からの分流のため、浅瀬のような流れがあるのみだが、私の説明が悪かったせいか、本格的に合流したと思ったやまとさんが、その流れの小ささに衝撃を受けていた。すぐに本流側へと合流し、ユーコン川入りを湛えて全員がパドルでハイタッチをしようとなったが、カヌー同士が遠くて空振りしたので、撮影をやり直したのは楽しい思い出のひとつである。
この合流地点で特徴的だったのは、ユーコン川は碧い透明な水だったのに対し、テスリン川は泥水のように茶色い水だったこと。特にテスリン川が汚いということではないのだが、そういった印象を持ってしまっても仕方がないほどの違いがあった。この水はやがて混ざり合って透明さは無くなってしまう。
ユーコン川との合流地点はフータリンカ(Hootalinqua)という地名で、水上飛行機の発着地点にも適した広大で緩やかな流れになっており、ユーコン川下りを短期間で終えたい場合に飛行機をチャーターして、この地から川下りを始めるプランもあるらしい。もちろん水上飛行機での移動はそれなりのお値段になる。このフータリンカにはシップヤードアイランド(Shipyard Island)という中州があり、そこには100年前に捨て置かれた蒸気船が鎮座していて、ユーコン川で唯一の観光名所となっている。「水曜どうでしょう」にも登場していたアイコニックな場所である。
蒸気船(エブリン号)は独特の雰囲気を放っており、野ざらしのわりには綺麗に残っている。帰国後に色々と情報を探してみたが、過去の国内外の動画やブログを見た感じでは、段々と朽ちてきているのが分かる。我々は立てかけてあった木の板をよじ登って船内に入ったが、昔はしっかりした階段もかかっていたらしい。特に保護された様子もなかったので、このまま朽ちていってしまうのだろうかと少し心配になった。


キャンプ地(Big Eddy Woodcamp)
ユーコン川の流れはとにかく雄大で、リバーマップに描かれたコーナーひとつにしても、曲がり切るのにとんでもなく時間がかかる。テスリン川の時はまさしくコーナーリングをしている感覚があったが、ユーコンの場合は曲がっている実感すら無い。「次のヘアピンカーブを抜けて休憩」と言われてコース取りを考えてはみるのだが、コーナーが巨大すぎて直進している感覚しかないためヘアピンとは言い難い。テスリン川とユーコン川のサイズ感の違いは、イタリアンの食材でいうなら「リングイネ」と「フィットチーネ」。和食なら「ほうとう」と「ひもかわうどん」といったところか。
パドリングをひどく億劫に感じつつ、この日目指したのは「Big Eddy Woodcamp」と記されたキャンプ地。Eddy(エディ)とは渦を現す言葉で、岩の裏側などへ渦を巻くように回り込む水流をイメージすると分かりやすい。同様に、大きく曲がった川の脇にもエディができるが、Big Eddy Woodcampとはまさにそんな場所だった。巨大で急なコーナーを流れる水が中心から外側に吐き出されて滞留し、止水のような巨大な淵を形成している。その淵の岸沿いを目を凝らしてキャンプサイトを探して回るがなかなか見つからない。緩んだ泥の洗礼を受けながらもようやくキャンプサイトを発見し、快適な時間を過ごすことができた。

6日目(ユーコン川の2日目)
Big Eddy Woodcampを出発してしばらく行ったところで、支流の流れ込みを見つけ、休憩を兼ねて竿を出してみることにした。広くて浅い特徴の無い流れで、川底は砂地のようだ。直感的に「魚は居着いていないかな」と考えたのだが、それを確認するように全員試し釣りを始めた。早々に諦めたやまとさんはスケッチブックを取り出して絵を描いている。やはり釣れる雰囲気が全くしないので早々に竿をたたんだ。
ユーコン川には所々に巨大な砂利の壁がそびえ立っていて、時々、小さな石が砂埃を上げて転がり落ちてくる。その様子をつい見入ったりもするのだが、雪山の雪崩のように崩れてこないとも限らないため少し距離を取って漕ぐことにする。

そうこうするうちに、ある中州(島と呼んでいるが)に人工物を発見し、急遽、立ち寄ってみることにした。リバーマップ上にも、何かある雰囲気の記載がされている。そうして立ち寄った小島にはゴールドラッシュの時代に使い捨てられたドレッジ(採泥器)の残骸が散乱していて少しだけ歴史の名残を感じさせてくれた。ここで休憩をしながらランチを食べて再出発。

ノーザンパイク
このユーコン川下りの中でやってみたかったことのひとつに、ノーザンパイクを釣るというのがあった。あらかじめリバーマップを見てあたりを付けた場所を探ってはみるのだが、全く反応が無い。後で思ったのは、探ってみた止水に近い場所よりも流れと止水の狭間にあるエディとの境目のような場所を探るべきだったということ。これに気が付いたのは川下りが終わって振り返りながらだったため試せていないが、おそらく間違いないだろう。あきらめて先へ進む。
風が強いため風向きを見ながらキャンプ地候補をいくつか移動していった。結果的に一つ分通り過ぎたキャンプ候補地までかろうじて戻ってのキャンプを遂行。後日、現地ガイドから聞いた話では、この時泊まったキャンプサイトには熊が居ついていた時期があって一時期近寄れなかったらしい。そんな事情を知りもしない我々は存分にリラックスしてキャンプを楽しんだ。

このキャンプサイトでは信じられない幸運に恵まれた。時間があるので竿でも出してみようとキャンプサイトの前の流れにルアーを投げることにした。パイクがいるような流れには見えないので、せいぜい30センチ大程度のグレイリングを釣るつもりである。このキャンプサイトに到着した時にうっかりライトウェイト用の竿の先端を折ってしまったため、パイク用に持ってきた強い竿と、同じくパイク用に用意した太いナイロンラインを巻いたリールに、グレイリング用の小ぶりなルアー(7グラム程度のスプーン)をナイロンラインに直結させていた。もちろんパイクを想定していないのでワイヤーリーダーは使っていない。

ダウンストリームで小さな沢から本流への流れ込みを探っていたところ、突然「ドンッ」という強い当たりを感じたためフッキングと同時にやり取りを始めた。グレイリングのイメージとはかけ離れたリールのドラグ音が響く中で数秒ほど思考停止に陥ったが、すぐにグレイリングの特大サイズがかかっただろうかと考え始めた。それにしてはバイブレーションが少ないパワフルな動き(トラウト系特有の振動ではない感触)なので、すぐに「パイクなのか…?」という考えに置き換わった。その直後、バシャっと水面を蹴った体躯を見てパイクであることを確信した。あとはライン切れを起こさないよう祈りながらの格闘。


そこにパイクがいた偶然と、竿が折れて強いタックルを使用したこと、格闘中に倒木に絡まなかったこととパイクのノコギリのような歯にナイロンラインが切られなかったことなどの数々の幸運が重なり、奇跡的にノーザンパイクを釣り上げることができた。ユーコンへの旅の直前に他界した母が導いてくれた奇跡かもしれないと勝手に感謝。パイクとのやりとりはぜひ動画を見ていただければと思う。キャンプサイトに戻ると、そろそろ手持ちの水が切れてきたため浄水器で水を作りながらの炊事を行い、宴会で明日への鋭気を養った。手持ちのビールも残り少ない。
それではまた会いましょう。
ガク
★がくんち – Gaku’s Base★
ユーコン遠征の仲間「やまとけいこ」氏の著書(👉 amazonリンク)



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